費用の仕訳ルールと勘定科目

<概要>

  • 費用のグループには、営業費用、営業外費用、特別損失の3つがある
  • 費用の場合は増加・減少とは言わず、発生・消滅という
  • 費用が発生した時は『借方』に記入
  • 費用が消滅した時は『貸方』に記入(ただし、めったにこのパターンはない)
  • 費用の場合『費用の発生』と『資産の減少』、『費用の発生』と『負債の増加』のいずれかのパターンがほとんど

費用の勘定科目

費用のグループには「収益と費用」の記事で紹介したように、本来の営業活動で要した仕入れ費用や従業員の給与などの『営業費用』、借入金の利息など本業以外でかかった『営業外費用』、資産の評価損などの『特別損失』の勘定科目があります。

なお、費用の場合『資産』、『負債』、『資本』などの『貸借対照表』向けの勘定科目とは違い増加・減少とは言わず、発生・消滅といいます。
ただし、費用が取り消されることはめったに起こることではありません。

『費用』が関与する取引の場合、ほとんどのケースは『費用が発生』と『資産の減少』あるいは『費用の発生』と『負債の増加』がセットになります。
費用の場合、他の勘定グループと比べても、勘定科目が非常に多いのが特長であり、簿記の試験を考えれば覚えるべきことが多く、実務においてはどの科目に当てはめるべきなのか迷ってしまう場合があります。

費用グループの主な勘定科目
勘定科目 内容
営業費用 仕入(仕入高) 商品の仕入によって発生した費用
売上原価 商品の売上などの収益を得るために直接かかった費用
給料 従業員に対する給与、賞与など
役員報酬 役員に対して定期的に支払われる給与
発送費 商品を売り渡す際にかかった発送運賃や運送保険料など
旅費交通費 出張時の旅費、電車、バス、タクシー代など
通信費 電話代、はがき、切手代など
広告宣伝費 チラシ、頒布物など不特定多数の人に対する広告に要した費用
接待交際費 得意先など特定の人に対する接待や贈答などに要した費用
福利厚生費 従業員のために会社が負担する社会保険料、慰安旅行代など
会議費 業務上の打ち合わせや商談の際に支出した飲食代、会場使用料など
地代家賃 建物の賃借料(支払家賃)と土地の賃借料(支払地代)
修繕費 建物、備品などの維持・管理のためにかかる修理代など
水道光熱費 電気、ガス、水道などの料金
消耗品費 文房具、コピー用紙などの消耗品の購入代金
支払保険料 火災保険などの保険料
租税公課 事業税、固定資産税、自動車税、印紙税(収入印紙代)など
支払手数料 税理士や弁護士に支払った手数料
貸倒損失 売掛金などが回収不能になったことによる損失
貸倒引当金繰入 貸倒引当金として費用に計上した金額
減価償却費 固定資産の価値の減少分を費用に計上したもの
雑費 販売費及び一般管理費のうちあまり重要でないものをまとめて処理する勘定
営業外費用 支払利息 借入金などの利息
手形売却損 手形の割引料。支払利息と合わせて『支払利息割引料』とする場合もある
有価証券売却損 売買目的の有価証券の売却によって生じた損失
有価証券評価損 売買目的の有価証券の評価替えによる帳簿価格と時価との差損
雑損失 あまり重要でない少額の費用をまとめて処理する勘定
特別損失 固定資産売却損 固定資産の売却によって生じた損失
固定資産除却損 固定資産の除却(廃棄)によって生じた損失

仕訳の手順

例1)キャンペーン用チラシの制作を50万円で発注し、翌月末払いの約束で納品/請求を受けた。

このパターンの場合も、納品時に現金で支払うのではなく。請求書を発行してもらい後日振り込むことが多いでしょう。
その場合『費用の発生』という取引は発注したチラシを受け取り、請求をされた時点で確定します。ですので、一旦は以下のような形で仕訳を行います。
チラシの場合は『広告宣伝費』にあたるので、借方に『広告宣伝費』を計上します。
また、この時点では支払いは行わず、後日払うので貸方に『買掛金』として計上しておきます。

借方 貸方
広告宣伝費 : 500,000 買掛金 : 500,000

その後、振込を行った時点で、買掛金の支払いという『取引』が発生し、『負債』と『資産』の勘定科目間でで金額が移動します。

借方 貸方
買掛金 : 500,000 普通預金 : 500,000

例2)商談のためタクシーで移動し、1,500円を代金として現金で支払った

このパターンの場合は例1と違い、1回の取引で完結するパターンです。『商談のため』とあるので、『旅費交通費』にするか『会議費』とするか迷うところですが、交通機関に対して支払った金額なので、『旅費交通費』で良いでしょう。

借方 貸方
旅費交通費 : 1,500 現金 : 1,500

 

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