決算整理

なぜ決算整理が必要か?

一見すると、「試算表の作成」の記事のように、合計試算表・残高試算表・合計残高試算表が出来上がれば、そのまま財務諸表が作成できそうなものですが、そう単純にはなっていません。

例えば、仕事用のPCを購入したような場合、購入費用はそのまま当期の「費用」にしたくなるところですが、コピー用紙やインク代などの消耗品や事務用品と違って、PCや大型のコピー機など、事務機器の中には購入費用をそのまま「費用」に出来ないものもあります。
もっと高額なものとしては、事業用の車両などもそうです。自動車などの高額商品であれば分割で支払うことになるでしょうが、分割で支払った額がそのまま「費用」になるわけではありません。いわゆる「減価償却」というものですね。
あるいは、次期の費用になるべきものを先に当期に支払って処理している場合も、そのまま当期の費用に計算することは出来ません。

このように、当期中の記録の修正や調整をする、「決算整理」という手続きが必要になってくるわけです。

決算整理事項とは?

先程の例では、次期の費用になるべきものや「減価償却」を上げましたが、これら決算整理が必要な項目のことをまとめて「決算整理事項」と呼んでいます。
決算整理事項として指定されているのは以下の8つの事項です。(各事項の詳細は別記事で後日・・・)

  • 売上原価の計算
  • 現金過不足の整理
  • 貸倒引当金の設定
  • 有価証券の評価替え
  • 消耗品の計算
  • 減価償却費の計算
  • 収益・費用の繰延と見越し
  • 引出金の整理

これらについて、仕訳を修正し、修正した仕訳を総勘定元帳に転記する作業を行います。
この仕訳のことを「決算整理仕訳」と呼んでいます。

棚卸表の作成

試算表を作成した後に「棚卸表」を作成する場合もあります。
これは決算整理に必要な物を一覧にまとめたものです。
これを使って、どのような勘定科目について、決算整理が必要かを確認したうえで、勘定科目ごとに分類して作成します。

決算整理とシステム

システムを開発する上で難しく、よく不具合の原因になるのは「例外処理・イレギュラーな処理」の類です。
筆者はかつて医療系のシステムを担当した経験がありますが、特に診療報酬の計算はイレギュラーの嵐で苦労しましたが・・・

医療系の話は置いといて、簿記・会計の方でもこの決算整理はどちらかと言うとイレギュラーな処理のたぐいに入るでしょう。
減価償却費の様にある程度自動で計算できるような項目もありますが、現金の過不足であったり、有価証券の評価替えなど、決算整理をする時点ではじめて修正額が確定するようなものもあるので、試算表の作成後に、経理の担当者が「決算整理仕訳」を入力できるような仕組みを用意しておく必要があるでしょう。

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